どんな本?
認知バイアスとは、偏見や先入観、思い込み、誤解などを幅広く指す言葉です。本書では、論理学、認知科学、社会心理学の3つの研究分野からその認知バイアスについてアプローチしています。
対象読者が大学の新入生とのことで、難しい言葉は使わず、仕事上の経験に依存する説明もありませんでした。
わかりやすさの工夫
認知バイアスの説明は文章だけでは伝わりにくいせいか、図や絵が随所に差し込まれていました。また、実験の内容を日常生活で起きることに置き換えて説明されている箇所もありました。
これらの工夫により初めて知る内容でも理解しやすかったです。また、関連する認知バイアスが書かれていることも理解を助けました。
知識から一歩進む
錯視の説明のところで、「(錯視を)ただの間違いであると考えるのではなく、なぜそのような現象が起きるのかを考えることで、人が自分の周囲の環境を把握する心の仕組みについて、考えを巡らせることができる。」とあり、なるほどと感心しました。
この一文を読んだことで、ただ単に認知バイアスについて知るだけでなく、それを知った上での行動に変化を起こせそうです。
さいごに
本書の一貫した姿勢として、認知バイアスを知ることで人生を豊かにしてほしいという願いがあります。そのため60ある各章には必ず、注意点やどう対応すれば良いのかなどの考え方が書いてありました。
情報に踊らされていた、偏見や思い込みをしてしまったなどの経験に心当たりがある方は、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。