発刊: 2019-07-16
どんな本?
介護・福祉・医療などの現場で、相談を受けたり援助したりする人を対象として、質問の技術を解説した本です。
対人援助の現場では「質問する」ことが欠かせないのに、苦手に思う人が多いことに気付いた筆者は、体系的に学ぶ機会が少ないことが原因の一端だと考えたそうです。本書は「質問する」技術を、心理学の知識や実際の質問例とともに学べる構成となっていました。
質問力の学び
本書は6章構成で、1〜4章を使って質問の解説がされています。良い質問と悪い質問、目的別の使い分け、質問するときに気を付けることなど、多くのトピックがありました。ただ、1つ1つは短く読みやすい文章で書かれていて、あとで読み返すときもサッと手早く読めそうです。まさに便利帖ですね。
また、相談・質問例はよくある会話内容という印象を受けました。そのため、自分ならこう返してしまいそうという想像をしながら読むことができます。そして自分の中にあった中途半端な知識も、どの点が良いのか・良くないのか言語化してありとても学びになりました。
質問力を活かす
5章は質問を活かすために重要な「聴く」ことについてです。この章は念のためという感じなのか、わかりやすくはあったものの短めの内容でした。「聴く」ことについてはある程度の知識があるという前提なのかもしれません。ただ傾聴や共感を示すことの大事さについて記述されているなど、範囲としては十分な内容だと感じました。
6章は現場での質問の活かし方についてです。ここでは解決志向アプローチ、行動変容、コーチング、動機づけ面接などがキーワードとなっています。質問集はどれも具体的で、「明日から使える」内容なのではないでしょうか。
最後に
私は対人援助職に従事してはいませんが、それでも本書の内容はとても参考になりました。「これを覚えておこう」という点があまりに多かったので、いくつかに絞って実践してみようと思います。
対人援助職の方はもちろん、そうでない方でも、相談を受けたり面談する機会があるなら本書はおすすめです。