どんな本?
本書は、数々の問題が「認識と関係性が固定化されている」ことで起きるとして、その固定化を解決するための技法について述べた本です。
前半では、問題を捉え直したうえで解くべき課題を設定する技法について解説されています。後半では、ワークショップにおけるファシリテーターの役割や、どんなスキルがあるのか、どのようにワークショップをデザインするのかが解説されています。最後には事例集もあり、具体的な様子を想像できるようになっていました。
問題と課題
問題とは状態のことであり、関係者それぞれの認識によって解釈が異なります。それに対し、関係者間で解決されるべきと合意された問題を課題と定義されていました。
まず問題をさまざまな角度から考え、課題を定義していくやり方が事細かに解説してあります。特に3章で解説されている目標の精緻化と再設定はとても参考になる内容でした。
ワークショップとファシリテーター
ワークショップについて、「付箋を使うアレ」のようにぼんやりとしか認識していない人は多いのではないでしょうか。私もそうでしたが、本書はワークショップのデザインについて多くの分量を割いており、わかりやすく丁寧だったので理解の助けになりました。
また、ファシリテーターについてもスキルや具体的な振る舞いについて解説されており勉強になりました。一風変わったキーワードとしてファシリテーターの「芸風」という言葉が使われており、おもしろい表現だと感心しました。
さいごに
タイトルの「問い」については、1章でまずは辞書的な定義の解説から始まり、どんな性質を持つのか、「質問」や「発問」との違いは何かまで丁寧に解説されていました。あらためて問いの重要さに気付かされます。
本書は実践的な内容が多く、学校や職場の課題解決の場で活かせるノウハウを身に付けることができるでしょう。