Published: 2021-08-28
どんな本?
日本を対象として、さまざまな格差による分断が起きていることを解説した本です。格差や分断とは何か?なぜ起きるのか?どういった良くないことを招くのか?について、事実や数値と共に述べられていました。
本書のサブタイトル「16歳からの <日本のリアル>」が表す通り、対象読者は16歳です。そのため前提となる知識や状況が丁寧に説明されており、平易な文章で書かれていました。図やグラフが多く、具体的なイメージが湧きやすいことも特徴です。
身近にある分断の向こう側
本書は「所得」「職業」「男女」「家庭」「国籍」「福祉」「世代」の7つの格差について章立てされています。
日本に住む人であれば心当たりがある内容が多いと思われますが、表層的な理解に留まっていて分断の向こう側を想像さえできない人が大半である、と筆者は述べます。各章ではその向こう側について取材した内容や事例が紹介され、こうすべきではないかという提案も語られていました。
コロナ禍で日本が受けた影響
2021年8月の発売だと「コロナ禍」が始まって1年少々が経過しています。やはり影響はあったようで、特に男女格差と家庭格差の章で触れられていました。
コロナ禍のほかにも格差を表層化や加速化、もしくは生み出してしまった社会運動や政策はいくつかあり、それらについても触れられています。
さいごに
格差や分断はすべての人に関係があり、どの立場にいようとも減らす努力はできると感じました。それが直接的・間接的に自分や周囲の人を助けることになると思えば、具体的な行動に移していけるのではないでしょうか。
また、冒頭でも書いた通り16歳に理解できる形式・表現になっているので、大人でもこの分野の本を初めて読む場合には適した本だと思います。