発刊: 2023-05-17
どんな本?
小学生(高学年)向けに、プログラミングをするときに気をつけることや考え方、楽しさを伝えている本です。
近未来の日本を舞台にしたストーリー仕立てになっており、主人公の「ユウ」がコンピューター「ミニオ」にプログラミングをしながら話が進んでいきます。
自分の問題とプログラミング
タイトルにもある「魔法のプログラミング・ノート」ですが、これはユウがプログラミングするのを助けてくれる存在です。ユウはこのノートと対話しながらプログラミングし、自分の課題を解決していきます。これは正に ChatGPT とのやり取りそのものだなぁと思いながら読みました。
この書籍が執筆されている時点では ChatGPT は世に出ていなかったはずなので、そういう意味でも近未来的でワクワクしますね。これからどのような世界になるのかを見たような気持ちになります。
本書でのプログラミングは、最初から最後まで一貫して「自分の問題を解く手段」として表現されています。そしてそれを助けてくれるノート。誰か他人の問題を解くシーンがないのも、きっと明確な意図があるんだろうなぁと思いました。
わかりやすい表現
本書は細部の表現がとにかくわかりやすいと感じました。小学生向けなため、使われている単語も難しくなく、一文が短いです。全編通して平易な表現が使われており、たとえば変数の説明では「代入」という言葉を使わず代入が表現されていて驚きました。
また、プログラミングの考え方を理解してもらうための工夫も随所にありました。日本語での疑似プログラミング言語を用いていたり、覚えたことはそのあとの章でも出てくることで覚えやすかったり。配列の添字の例えとして、部活動の背番号を使うのは、なるほど身近でわかりやすいと思いました。
個人的な推しポイント
特に個人的な感覚での推しポイントをいくつか。
まずイラストがとても好きです。すこしふんわりとした感じで、本書の世界観にぴったりだなぁと思いました。プログラミングという形にしにくいものを説明する上で、イラストはとても大事です。
エラーになるシーンが入っているのも良いポイントです。プログラミングの途中でエラーが発生したとき、とても動揺して手が止まってしまう初学者の方をよく見るので、「エラーが起きるのは普通のこと」だと思えるようになると良いですね。
自分に本書の対象ど真ん中の娘がいるせいか、自然とユウを娘に重ねて読んでいました。ストーリーの中でユウがどうしたら良いか気付くたびに、「そうそう!すごい!」と心の中で拍手してしまったり。(娘本人も今読んでいる途中です。)
最後に
本書は小学校高学年向けではありますが、年齢に関わらずプログラミングを始めようという方にオススメです。本書でまずプログラミングの基本的な要素・概念を頭で理解しておくと、実際に動くプログラミングをする際はスムーズに覚えられそうだと思いました。(ちなみにその点についても、「おわりに」で実際のプログラミングへの入り口となるURLが用意してあります。)
「わからないと魔法だけど、わかってるとプログラミング」というニュアンスの文章が出てくるのですが、その通りだと思います。どんどん身近になるプログラミングを楽しく始めたい方は、本書を手にとってみてはいかがでしょうか。